Thrull Champion
タグ:Card of the Day, MTGシングル, Thrull Champion, フォールン・エンスパイア, 岩SHOWCard of the Day -今日の1枚- 2015/08/05
Thrull Champion
スラル。人によっては聞き慣れない部族だとは思う。最後に登場したのが『ドラゴンの迷路』だ。そんなに遠くはないけどさりとて近くはない。『テーロス』以降プレイヤーが増えたことを考えると、スラルを唯の1枚も経験せずに今この時を迎えているプレイヤーだって少なくはない。というか、永らく遊んでいるプレイヤーでも「こいつがスラルなの知らなかった。でもそれで何か変わるかっていうと...」という感想が圧倒的に多いんじゃないかな。「こいつが戦士なの知らなかった。白黒戦士デッキの3マナ圏に丁度いい」とか、そういう構築に繋がる感想の出しようがない。スラルは部族デッキがないからなぁ。
ただ、デッキがない=部族支援がない、というわけではない。決してない。今日紹介するのは、そんな恵まれない部族・スラル達のロードだ。その名も《Thrull Champion》。5マナ2/2と頼りないサイズをしているが、「スラル・クリーチャーは+1/+1の修整を受ける。」という能力で自分もサイズアップされるため、実際のサイズは3/3。自身の能力で自身のサイズが上がるという、所謂"ロード"能力持ちの中でも稀有な存在である。カードに書かれている数字と実際のサイズに差が出来るのを極力避けるためか、こうしたカードはなるべく作られないようになっている。旧時代の《ゴブリンの王》なんかはすべてのゴブリンを強化するが自身はロードという別タイプだった。時代が変わってロードからゴブリンに生まれ変わるも、能力は「他のゴブリン」というものに置き換わった。ロードとは概ねそういうものだが、その中にあってこのスラルの王者は自身も強化するし、ロード能力持ちにして元ロードというわけではない。他に類を見ない、異色のロードなのだ。
さて、能力はそのスラル全体の強化と、タップすることでスラル1体のコントロールを半永久的に得られるというものの組み合わせとなっている。旧世代の全体強化能力のため対戦相手のスラルも大きくなってしまうが、それはブン取れば良いだろうということである。黒という色でこういったコントロール奪取呪文は珍しい。ここは1つ、クリーチャータイプを書きかえたり多相を与えたりするカードと合わせて使いたいところだ。対戦相手がスラルを出してくることなんてないからな...。
このコラムを日頃から読んでくださっている方ならお気づきかもしれないが、僕の大好きなカードである。シブい、激シブ。デザインもさることながら、イラストも素晴らしい。脚もなく多頭の異形の怪物が、武器と旗をその手にしている。背景では煙が上がっている...。これは『フォールン・エンパイア』のストーリー上で起きた「スラル反乱」という事件のワンシーンを描いた1枚。漆黒の手教団が培養し奴隷などに使用していたスラル達が、自由を求めて立ち上がるお話だ。熱いんだよなぁこれが。